上奥歯のインプラントは難しい?その理由と対処法は?
インプラント治療を成功させるためには、高度な解剖学的な知識、技術、経験といったものが必要となり、難しいケースにおいては稀ではありますが、残念ながら治療が成功しないケースというのも存在します。
特に上の奥歯はインプラントが難しい場所の一つであることが知られています。今回は、上の奥歯のインプラントがなぜ難しいと言われているのか、また、インプラントを成功させるために行われている方法にはどのようなものがあるか、ということについてご紹介します。
上奥歯のインプラントが難しいと言われる理由

◆骨が薄い
上の奥歯の上方には「上顎洞」と呼ばれる副鼻腔が存在しています。その部分は大きな空洞となっており、上の歯の歯根と近接しています。人によっては、上の奥歯の歯根が上顎洞に入り込んでいるような状態になっていることもあります。そのため、上の奥歯の部分にインプラントをしようとしても、インプラントを埋めるのに十分な骨の厚さがない、ということは決して珍しくありません。しかも、歯を失っている場合、歯周病などでさらに骨が破壊されていることが多いため、より一層インプラントをすることが難しくなってしまいます。
◆骨の密度が低い
上顎の骨は海綿骨と呼ばれるスポンジのような、内部に空洞がたくさん空いているタイプの骨です。下顎の骨は緻密骨と呼ばれる密度の高い骨で、インプラントを埋めても安定しやすいですが、上顎の骨はスカスカなので骨と結合しにくく、場合によっては強い力で抜けてしまうこともあります。
このように、上顎のインプラントは、そのまま埋めようとしてもうまくいかない、ということは少なくありません。
しかし、現在では、インプラントの改良、技術の進歩、骨を増やすテクニックなどにより、上の奥歯のインプラントの成功率は他の部位の成功率にだいぶ近づいてきています。
上奥歯で骨が薄い場合にインプラントを成功させる方法

◆ソケットリフト法(骨を増やす方法)
インプラントを埋める部分の上顎洞の底の部分を骨折させて挙上させ、それによってできたスペースに骨となる材料を満たしてインプラントを埋める厚みを確保します。
◆サイナスリフト法(骨を増やす方法)
骨がかなり薄いケースや、同じ側の奥歯に複数のインプラントを埋め込む場合に行われます。上顎洞の骨を歯茎を切開することによって露出させ、骨の一部を開けて上顎洞の粘膜を剥離して持ち上げ、そこにできた部分に骨となる材料を満たして大量の骨を作り出し、インプラント治療を可能にします。
◆傾斜埋入法(インプラントを斜めに埋める方法)
こちらは上の二つの方法と違い、骨の材料となる人工骨の移植を行わない治療法です。上顎洞など、骨の中の大事な組織を避けて斜めにインプラントを埋め込みます。
上のように、難しいとされている上奥歯のインプラント治療も、骨を増やす技術や、埋め込み方を工夫することによりインプラント治療をすることが可能です。
当院では上の奥歯部分のインプラント治療も数多く手掛けております。上の奥歯を失ってインプラントをお考えの方は、お気軽にご相談ください。



